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海外設計事務所向けポートフォリオの作り方海外設計事務所向けポートフォリオの作り方

2019.02.03

GSD留学

海外設計事務所向けポートフォリオの作り方

海外設計事務所向けポートフォリオの作り方

2月の頭からは夏のインターンシップの採用が始まる。自分の過去の作品やGSDで取り組んだ作品を、今まで学んだGSD的美学のもとに再構成して、ポートフォリオとしてまとめた。(https://issuu.com/hkawashim/docs/hk_2019) 留学にいく前にまとめた、日本風のムチムチに詰まったポートフォリオと比べれば、その差は歴然だ。(https://drive.google.com/file/d/1jF7mWPukZ_U1h-kJlDf3z1TwH6PCXIYr/view?usp=sharing)

海外の建築学校がほとんどアートスクールに所属していることは前に説明した通りだ。そのため、密度の高さが重視されるのは当然のことだが、アイディアやセンスの良さがひと目で分かるような絵も重要になってくる。そういうものをきっかけに人がポートフォリオの中をストレス無く体験できるよう、留意しなければならない。海外の書籍と日本の書籍のデザイン性や密度の差をイメージすれば分かりやすいだろうか。

ポートフォリオを再構成する際に参考にしたのは、GSDの建築学生で現在ダントツで才能があると言われているKHOA VUのポートフォリオだ。(https://issuu.com/archdekk/docs/khoa_vu_araldo_a._cossutta_submissi)あまりにも格好が良いので、レイアウトをそのまま使い、自分の作品を当てはめてみるということを試してみた。

要するにレイアウトを完全にパクるところからスタートしたのだが、これが大変勉強になった。余白の作り方や、見る人の意識の解放・集中のさせ方などである。現在ネタとして持っている写真にPhotoshopで余白を足して行きながら、演出を整えていく作業を続けた。結果的には他の人の目からも評判が良いものができた。自分の考えていることやキャラクターのようなものが、以前のポートフォリオよりも無理なく伝わるになったと思う。

GSDは建築学校を基本としているが、芸術学校であり美大である。レイアウトや表現にかける労力が、建築学校が工学部に所属する東大とはレベルが違う。自分はそういう面において。GSDに入学した時は底の底のレベルだった。今回ポートフォリオをまとめ直したことで、やっとこさGSD学生として違和感ないレベルには底上げできたのではないかと感じている。

ポートフォリオにはストーリーも大事だ。その人のパーソナリティがどういうものなのか伝わらないと、英語圏では共感を得ることが難しい。

今回の場合、在学中アメリカでしか得られないような、建築にまつわる最新技術に手を伸ばしまくったことが、変化に一役を買っている。以前は「環境技術とデザインの融合」という一本槍の方向性を示していたが、「最新技術(サイエンス)とデザインの融合」というより大きな枠組みに拡大した。最新テクノロジーにインスピレーションを受けながら、未来と過去の価値観を同時に包容するようなデザインを目指す。この点もGSDに入ってから成長できた点だろう。

ポートフォリオのまとめを終わってみて、未だに自信がない分野が、「グラフィックデザイン」と「写真」だ。能力と才能が至らない部分だと日々痛感している。

自信のある分野と自信のない分野はの違いは何かと考えてみる。

自信のある分野について。例えば建築デザインなどをやっている時には、自分は頑張りが足りないとか才能がないとか、そういうことは全く考えないことに気づく。純粋に、現在自分が取り組んでいるプロジェクトが、どうしたら良くなるかだけ考え続けている。

逆に自信がない分野では、すぐに自分の至らなさについて思いを馳せてしまう。このレイアウトが気に入らない、あの人のようなセンスが欲しい、何でプロとこんな差があるのだろうなどなど。自分が取り組んでいるプロジェクトに関係のないことを悶々と考えてしまう。

ここに浮き彫りになるのは、クリエーションの対象そのものに対して試行錯誤をしたり頭を使ったりする量の差が顕著だということだ。インプットとアウトプットの量の差もしかり、その積み上げが、「能力と才能の至らない部分」を作り出していく。

一つできることとしては、苦手な分野に取り組む際に、自分のことを考えるのをやめ、クリエーションの対象がどうすれば良くなるかだけ、考えるように心がけることだ。「能力と才能の至らない部分について」を考えること自体が、自分自身の成長を減速させる。

今回のポートフォリオの再構成に対するアプローチは、他者との差を確認し、彼らがなぜ良いのかを研究し、それを自分の糧にするプロセスそのものだったのだろう。卒業までには絶対に弱点を克服したいと強く感じている。

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