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ハイラインハイライン
2017.11.08
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ハイライン
※本記事は、取締役COOの川島がハーバード大学デザイン大学院(GSD)留学時代のブログに一部編集を加え、転載しています。
というのは言わずと知れたニューヨークにある公園だ。廃線となった高架の上を都市公園として整備したプロジェクトで、建築的にも、都市デザイン的にも、ランドスケープデザイン的にも、世界中で参照され続けているような伝説的なプロジェクトである。そのため、「ニューヨークで働いていて、朝はハイラインでランニングするのが日課だ」なんていうのが建築学生の夢だったりもする。そんなプロジェクトを先日訪れることができた。
端から端まで体験したかったので、北端の34 st. 11-12 ave. に位置するスタート地点から歩き始めた。ハイラインが周辺の土地の価値を高めたおかげで、高層ビルの開発も周りで進行している。歩いていってもハイライン自体のデザインが場所によって劇的に変わっていくわけではない。廃線の跡と、プレキャストの舗装と、豊かな植栽の共存が、場所によって少しずつ変化していく。
一方で、周辺の風景は変化に富んでいる。工業地帯のようなところもあれば、ニューヨークらしい都市の景観が見えるところや、整然としたレンガ造りの住宅街に面することもある。ハイキングルートのように景色が良いところには、小さな展望台が設けられている。
全体の中盤以降を過ぎると、徐々に人が増え景色も賑やかになる。観光客が集まるチェルシーマーケットの側には土産物や珈琲の屋台があり、程よい休憩場所となっている。ハドソン川に面した場所では寝そべられるようなベンチが設置され、本などを読みながら長い時間を過ごすことができる。
じっくりと見ていたため、全長2.3kmの区間を歩くのに2時間ほどかかってしまった。それこそランニングをすれば10-15分しかかからないだろう。それでも連続した高架の上という、都市から少し切り離された場所を歩く体験はとても気持ちが良かった。韓国の清渓川の開発もそうだが、連続しているということに大きな価値がある。
ニューヨークのような大都市で生活するのは魅力的だが、人混みに溢れた地下鉄に乗り、高層ビルに囲まれた狭い道を歩き続けるのには少し辟易してしまう。そんな中で、都市から切り離され、少し上から俯瞰することのできる場所に行くことは、生活や気持ちにリズムを作る上でとても重要だと思う。
渋谷や新宿にあるような歩道橋だって同じような場所の気がするが、ここには大きな違いがある。ハイラインは元々鉄道の往来のために作られた構造体なので、人をある地点からある地点に運ぶという目的で作られてない。そのためスペースには公園のような余裕があるし、特にどこを目的に歩くのでもないので、それが空間の開放感を変えている。
また、ハイラインがこんなに魅力的な場所になり得るのは、一重にニューヨークの都市の魅力の密度の高さから来るものだ。他の都市で同じようなことをやっても、廃線の高架の周りに最初からものを建てない限り、間の抜けた空間になるに違いない。
その都市にしかない、特別な空間を作るということほど、クリエイティブで魅力的な仕事はないだろう。