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HBSが唱えるGeneral ManagementとはHBSが唱えるGeneral Manag…

2020.05.03

HBS留学

HBSが唱えるGeneral Managementとは

HBSが唱えるGeneral Managementとは


各MBAプログラムはそれぞれ得意分野があります。例えば、StanfordであればEntrepreneurship(起業)、WhartonはFinance、KelloggはMarketingなど。
HBSは・・・General Managementが一般的な答えです。正直初めて聞く人もいれば、聞いたことはあるけれども正確に何のことかよくわからないという人がいると思います。僕もその一人でした。
それもそのはず、このGeneral Mangementという言葉、日本語には直訳がありません。広義の定義で言えば、ある団体や組織を率いる責任統括者のことを指し、狭義の意味で使うと社長や統括部長などのことを指します。組織において責任が集中した強い指導者の存在を求める米国の文化を背景に生まれた言葉なのかもしれません。

2年目の春学期ではBecoming General Manager (BGM)という授業を取りました。(授業紹介の記事はこちら)HBSでの名物授業と言われるLEAD(1年目の授業紹介記事はこちら)では、リーダーシップのあり方について学びましたが、BGMではより具体的なアクションに落とし込んでいくTacticalな側面まで学びます。

General Managementに対する誤解

冒頭で説明したように言葉の定義がかなりの広範囲に及ぶため、よくリーダーシップ的なソフトスキルのことを指すのだと勘違いしている人がいます。
これは大きな間違い。FinanceやMarketingなど体系化が進んだ分野と並ぶ、非常にTangibleなハードスキルです。
どのような組織を率いるにせよ、効果的なステップは実はかなり共通しています。これをフレームワークと呼ぶならば、企業毎の特殊なコンテクストやデータを噛み砕いて、インプット化するところはケースバイケースということになります。ただし、これはFinanceでもMarketingでも同じこと。DCFや4Psといったフレームワークに当てはまるように情報を整理するところが頭の捻りどころであり、その先は理論に基づいてアウトプットが半自動的に生成されます。さらに、その結果を精査して、仮定を調整し直すというフィードバックループにかけます。
このようなフレームワークの位置付けはGeneral Managementでも同じです。

General Managementのフレームワークとは

マネジャーが判断、アクションに至る過程として、Context > Interpretation > Actions > Outcome の経緯を辿る必要があります。
文脈を理解し、解釈し、アクションプランに落とし込み、結果を出すという至極当たり前の流れですが、この過程にはいくつかの罠が隠されています。

Context > Interpretation
企業がおかしな方向に舵を切ってしまう大きな原因の一つは、判断が間違っているのではなく、判断の根拠となるデータとその解釈の仕方が間違っている場合が多々あります。
これは
1) 人間の特性に起因するもの(Cognitive bias)
2) チームの作り方・運営に起因するもの(Team design, Psychological safety etc.)
3) 組織の文化やシステム・プロセスに起因するもの(Culture, process, board composition etc.)
の3つの要因に分類されます。
機能していない組織は、このチェーンのどこかが切れてしまっており(同時に複数おかしくなっているケースがほとんど)、まずはこの分析に相当の時間を投資しなくてはいけません。

Actions > Outcome
実際に行動に起こす段階では、Advocacy(提唱)的なアプローチとInquiry(探究)的なアプローチの両方をバランスする必要があります。
最初のContext > Interpretationの段階で全てのデータが正確に集めきれていることなど稀です。特に、機能不全の組織ほど末端から必要なデータがスムーズに吸い上げられることなどまずあり得ません。そのため、データ分析から得られた判断をただ「提唱」するだけでなく、本当にそれが正しい仮定に基づいているのか、「探究」するアプローチが必要となります。
トップが「これやりたいんだけど、どうよ?」と聞いて、現場を知る社員が「いや、それは現実に即していません。こうしたいです」と言える、健全な議論が構築できるか。「提唱」アプローチばかりが先行すると、社員が反論するインセンティブが失われてしまいます。
この段階で得られた新しい知見は最初のContextのプールの中に入れられ、再度新しい仮定のもとにアクションプランを考えます。このフィードバックループが必須です。

Implementation
上記の枠組みで組織に変革が必要となった時、以下の手順に従います。
「変化が必要であるという切迫感を共有する」
>「危機感が共有されたメンバーの中で新たなビジョンを作る」
>「複数のチャネルを使ってビジョン(+危機感)を全員と共有する」
>「能力あるものに責任を付与し変化を進めさせ、正しい尺度をもって進捗をトラックする」
>「短期的なサイクルの中で成功を積み重ねる」
>「学びを改善に積極的に取り入れる。その風土を作る」

細かい枝葉を振り落とすと大きくは以上が幹となります。
ある意味当たり前のことを言っているのですが、Day to Dayの事象に流されず、この枠組みに当てはめて日々のManagementを行えているか。自分を反省してみても甚だ疑問です。
これを呼吸の一部のように体得した人がGeneral Managerです。

これはHBSで得られた学びの中で最も大事なことの一つだと思います。

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