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鉄道網による日本のアーバーニズム鉄道網による日本のアーバーニズム

2018.12.02

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鉄道網による日本のアーバーニズム

鉄道網による日本のアーバーニズム

以前の世界のメトロの比較(https://hk-gsd.amebaownd.com/posts/3845082)の記事でも触れた内容であるが、日本の鉄道網の凄さについてアメリカで都市デザインを勉強したことで再認識をした。

そこで、何が特別なのかを自分なりの視点で説明した記事をハーバードのアーバンデザインのブログに投稿する機会があった。(https://www.ud-id.com/territories/2018/4/1/5qxi64py2pytv620k2r66ww3lcyr1c-7dw96-f35nn-4mzt8-4s92b-hwn7j-etjn5)ここで書いたことを日本語でも書き留めておきたいと思う。

ポイントとしては、東京や日本の大都市、全国に広がる鉄道網は、世界の他の国々の人達(特にアメリカ国民)の想像を超えた規模と密度であるということと、なぜ日本でそれが実現したのかということの分析を行っている。

要因として挙げられるのはまず、第二次世界大戦で敗戦したのをきっかけに、軍備増強のために国営だった鉄道が、GHQにより半民営にされたということから、国の力を誇示するような場所や空間ではなくなったということだ。またこれにより、鉄道を民営によって行うという世界で類を見ないモデルの礎ができた。

次に、阪急電鉄の小林一三が考案した、鉄道開発の際に駅や線路に必要な土地より大きめに土地を購入し、そこに百貨店や住宅地を開発するというビジネスモデルの発明だ。これをきっかけにして、沿線の開発を促し、乗客数を増やすというビジネスモデルが全国に広がった。さらに、国土交通省がその敷設範囲や乗り換えポイントをコントロールすることによって、民間の手によって機能的な鉄道網の建設が可能になったのだ。

この民間の手による開発というのが大きなポイントだ。例えば、公共によって地下鉄が開発されているボストンの例を見てみよう。公共の鉄道開発はもちろん税金を使っている。そのため、都心に住む人と郊外に住む人に平等に貢献するものは、自ずと都心と郊外を結ぶ線となる。その論理で開発を続けたため、ボストンの地下鉄網はツリー状になっている。

ツリー状の地下鉄網では、別の枝にある駅に行きたい場合に、必ず都心を経由して乗り換えなければならないため、非常に距離の効率が悪い。これを解決するために都心から少し離れた駅同士を横断してつなぐ環状線を計画すれば良いのだが、そういう線は都心の近くに住む人の利便性にしか貢献しないため、郊外の人の反対で建設は不可能である。このジレンマのせいで、ボストンの地下鉄網はいつまでたっても不便なままで放置されるのだ。

日本では民間の手によって鉄道が開発されるので、鉄道の通し方にある程度自由があるのだ。これが公共の手によるところと、民間の決定的な違いである。こういう理由で、日本では地下鉄+JR+民間鉄道会社という、他の国に比べれば3倍の鉄道インフラが発達することになった。

東京が世界有数の経済力を持つ都市にも関わらず家賃や物価が比較的安いのは、この鉄道網のおかげに他ならない。鉄道網を使った通勤が一般的であることから、都心からどれだけ離れた位置に住むかは個人の選択の自由となる。そのため、都心に住むことの価値が極端に高まらず、サンフランシスコのような現象は起きない。

世界の他の国では鉄道は殆ど公営のものであり、民間主導の開発にするという発想が殆ど無い。民間と公共の力をうまく使うことによって実現された日本の鉄道網によるアーバニズムは今後も長く世界のロールモデルになると言える。

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